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#3 大学評価はどのように行われているの?

 このシリーズでは、大学評価のことをもっと皆さんに知っていただくために、評価機関だからこそお伝えできる情報をいろんな観点からお届けいたします。3回目となる今回は、大学評価がどのように行われているのか、評価の実際をお伝えします。

はじめに

 大学評価がどのように行われているのかをお伝えすることは、大学評価結果に対する信頼性、ひいては本協会の信頼性にも関わってくるものと思います。ホームページや各種刊行物等において、評価基準や評価スケジュール等の評価の概要については公表していますが、今回は評価機関のスタッフの目線から、実際の大学評価の流れを紹介していきたいと思います。
 
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大学評価結果ができるまで

 大学評価は、約1年かけて行われます。毎年4月初旬にその年度に評価を受ける大学(以下「申請大学」といいます。)から評価資料が届いたら、以下の流れで評価がスタートし、評価結果が確定して公表するのは翌年の3月になります。
 なお、大学評価の体制としては、大学評価委員会(20名)のもと、申請大学ごとに評価者5人からなるチーム(分科会)を組み、加えて、財務状況を評価する分科会・部会を別途構成して評価を行います。申請大学数にもよりますが、評価者は全体で毎年200~300人程にのぼります。

<大学評価のスケジュール図>

<大学評価の体制図>

①評価者研修セミナー(4月下旬)

 すべての評価者に対して、事務局から評価システムの概要や評価の方法などについて説明するほか、大学評価委員会委員からの講演や、分科会ごとにサンプルの評価資料をもとに議論する評価者同士のグループワークも行います。グループワークのテーマは毎年変わりますが、2022年度は「大学の長所の見つけ方」とし、10ある基準のうち、基準7「学生支援」について模擬評価を行いました。このグループワークは特に初めての評価者に好評で、「実際の評価のやり方がよく分かった」「事前に分科会メンバーと交流が図れたのは良かった」といった声があがっています。

②書面評価(評価者研修セミナー終了後~9月)

 評価者研修セミナーを終えると、評価者は評価作業を開始します。先ほど述べたとおり、申請大学ごとに評価を行う分科会が設けられ、1分科会は原則として5人の他大学の教職員から構成されます。
書面評価では、申請大学が本協会の評価基準に沿って自己点検・評価した結果をまとめた「点検・評価報告書」(100ページ程度)やその根拠資料、また、学生数、教員数といった各種データをとりまとめた資料等をもとに行います。
 評価は、まず分科会委員が評価資料を読み込んで評価結果を執筆し、その後に会議を開いて、基準ごとに評価結果を審議します。この会議は、4時間ほどかけて実施していますが、評価者間で意見をすり合わせる重要な会議で、実地調査における質問事項や面談・インタビューの内容なども決めていきます。議論に時間を要するため、分科会の主査は、事前に各委員の評価結果をとりまとめるとともに、審議する点を整理してから会議に臨みます。評価員間で評価が分かれる時もありますが、双方の主張を聞いたうえで、場合によってはその後の実地調査で詳細を確認するなどして、慎重に評価を進めています。 

③実地調査(9~10月)

 書面評価が終わったら、申請大学に訪問して実地調査(2日間)を行います。実地調査では、教職員の方との面談や、学生へのインタビューを行って、書面評価ではわからなかった点を質問したり、新たな資料を求めたりする等、正確な評価を行うためにさまざまな情報収集を行います。
大学執行部の方々との面談は、申請大学の考えなどを知り、意見交換することのできる貴重な機会です。学生とのインタビューでは、6~8人程の学生に集まっていただき、学生が話しやすいよう、和やかな雰囲気の中で行われます。はじめは緊張している学生も、大学の良い点や課題等について、徐々にいろいろと話してくれるようになります。学生からの話で課題が明らかになったり、教職員から聞いた話と齟齬があった場合には、教職員との面談で事実を確認しています。
 実地調査2日目の最後には、大学執行部との方々と申請大学のさらなる発展や課題解決に向けて自由に意見交換を行う機会を設けており、本協会の実地調査の特長の1つにもなっています。全国各地の正会員大学から評価者が集まるこの機会を、評価だけにとどまらず、大学人同士の情報交換や意見交換にも役立てたいという想いは、「会員の自主的努力と相互的援助によって、わが国における大学の質的向上を図る」という本協会の目的にも沿うものであると思います。

④大学評価委員会及び理事会での審議、評価結果の公表(12月~3月)

 書面評価と実地調査が終わったら、分科会が取りまとめた評価結果の案を大学評価委員会で審議します。大学評価委員会には、正会員大学の教員を中心に、外部有識者も含まれています。1大学ずつ順番に審議していくため、申請大学数が多い年は会議が長時間にわたりますが、朝から夜まで2日間かけて一つひとつ丁寧に評価をしています。同委員会で取りまとめた評価結果の委員会案は、申請大学に送付し、書かれている内容に間違いがないか、意見を受け付ける機会を設けています(意見申立制度)。
 大学評価委員会で取りまとめた評価結果の案は、理事会に諮られます。このように、評価結果は分科会→大学評価委員会→理事会と審議を重ねていき、途中で申請大学からの意見も聞きながら、適切な評価結果を作り上げています。理事会で評価結果が承認されると、文部科学大臣に報告するとともに、ホームページ等を通じて社会に公表します。
 
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おわりに

 今回は、本協会の大学評価結果ができるまでを、流れに沿ってご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。大学を評価する責任を認識し、一つひとつの大学の適切な評価に努めつつ、これからも大学の改善・改革を後押しできる大学に寄り添った評価機関になることを目指していきたいと思っています。

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