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JUAA職員の仕事 #6 国際企画室編

 大学基準協会で働く職員は日々どのような仕事をしているのでしょうか?そんな疑問にお答えするため、連載企画「JUAA職員の仕事」では、各職員の担当業務の紹介やそれぞれの仕事の思い出、仕事に対する考えなどをインタビュー形式でお届けします。
 今回で最終回を迎える第6回目は、評価の国際通用性確保に向けて、各国評価機関との共同認証の実施や、評価機関としての国際認証取得など、国際化事業を担当する国際企画室の2人にお話を聞きました。


大学基準協会事務局組織図

職員自己紹介

Q:まずは2人の入局のきっかけを教えてください。

H室長:これまでの方々と同じような話ではありますが、大学のキャリアセンターで求人票を見つけて、大学に届いていた本協会の広報誌『じゅあ』を読みながら、なんとなく興味を持って応募してみようと思ったのが入局のきっかけです(笑)。
 私は、もともと大学でリサーチ・アシスタントとして働いていました。そこでは、毎年教員の転籍があることを知り、漠然ではありますが、教員が変わることによる学生への教育の影響を心配することがありました。今思うと当時から教育の質に関する部分に興味があったのかもしれません。

T係長:私は大学院で心理学を学んでいました。修了後、さらに研究を続ける選択肢もあったわけですが、私の場合は早く社会に出て働きたいという気持ちが強く、自身の専門を活かして将来は教育に携わる仕事に就きたいと考えていました。
 当初は子育て支援に関わるような仕事に就きたいと思っていましたが、一方で大学院まで6年間受けてきた大学教育というものにも興味があり、就職活動は両方の軸で行いました。その結果、縁あって本協会で働くことになりました。

Q:2人の本協会での経歴、現在の担当業務を教えてください。

H室長:入局後4年間は、当時文部科学省から委託されていた「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」の選定業務が主な仕事でした。この頃は業務多忙で終電後に帰宅する日も多く、とにかく大変だった記憶があります(苦笑)。
 その後、大学・短期大学の評価を行う機関別認証評価、法科大学院やビジネス・スクール等の評価を行う専門職大学院認証評価を担当してきました。
2018年より、新設された国際企画室において、共同認証プロジェクト(International Joint Accreditation Project)の実施や、連携協定を結んでいる海外の評価機関との共同学生調査や合同職員研修の実施、国際会議への参加、本協会の評価基準や評価結果等の翻訳などのさまざまな業務を担当し、日本の大学の国際通用性を高めるための活動や本協会の活動を国際的に認知してもらうための活動に従事してきました。また、近年は、各国の質保証機関が加盟する国際的なネットワークであるThe International Network for Quality Assurance Agencies in Higher Education (INQAAHE)が実施する国際認証を取得するために、先方とのやり取りや評価資料の作成、訪問調査への対応業務等を部署の責任者として統括してきました。おかげさまで、先月無事に適合認定をいただいたところです。

T係長:私は、入局後8年間、機関別認証評価や専門職大学院認証評価の業務を担当してきました。2018年に総務企画課に異動となり、主に本協会の広報活動を担当し、その後2021年より、国際企画室に異動となりました。
 当初は企画・調査研究課との兼務というかたちで国際化事業に携わってきましたが、2022年からは兼務が無くなり、国際企画室のみの所属となりました。具体的な業務についてはH室長が今話された仕事を私も一緒に担当していますが、少人数の部署ということもあり、本当に幅広い業務に携わってきた印象です。

思い出に残る仕事(プロジェクト)について

Q:国際企画室の業務に従事する中で、思い出に残る仕事(プロジェクト)は何ですか?

T係長:私の思い出に残る仕事は、一昨年より担当してきた国際的な質保証ネットワークであるINQAAHEが実施する国際認証の取得に関する業務になります。国際認証ということで、評価資料の作成や先方の担当者とのやり取りは当然すべて英語になり、当初はスムーズに対応できるか非常に不安でした。実際に評価申請時には、相当量の日本語文書を英訳する作業があり、H室長の日本語を直訳するのではなく、要点を整理して英訳する技術の高さに触れながら、翻訳の難しさを感じました。
 訪問調査は、スイス、アルゼンチン、マーレシアから評価者が来日し、3日間に渡って実施されました。調査では、本協会関係者に対するインタビューが終日行われ、延べ100名近くが出席しました。私は、関係者への出席依頼を行いましたが、予想以上に多くの方々が快く協力してくれ、また、実際のインタビューでは、本協会の活動や組織の重要性について、さまざまな立場からお話しいただきました。特に、関係者の方々が本協会に対して高い信頼性を持ってくださるということを直に感じることができ、大変貴重な経験となりました。
 適合の認定を得て、ここに至るまでにご協力いただいた協会内外の関係者に心より感謝するとともに、これをきっかけとして国際的にも本協会の認知度を向上させ、大学の国際通用性を高められるようにしていかなければならないとの思いが強くなりました。

H室長:私の場合、もともと国内の評価業務に従事しながら、定期的に国際会議に出席させてもらっていたので、他の職員よりも国際的な視野をもって業務に取り組んできたつもりです。そうした中で、本協会の国際化の必要を強く感じ、より本格的に携わりたいと思うようになりました。それは、ちょうど国際企画室の新設と重なり、満を持して国際化事業に従事することとなりました。
 最初に取り組んだのは、台湾の評価機関とともに立ち上げた共同認証プロジェクト(International Joint Accreditation Project)でした。このプロジェクトは、日本と台湾の両評価機関で作り上げた評価基準に基づき、両機関の評価者で混成される評価チームが評価を行うという画期的なものでした。もともと日本と台湾で同一の評価基準を持ち合わせない中で、協定等に基づき一方の評価機関による評価結果をもって、両国共通の評価結果として取り扱うことで相互認証とする方法では、実質的な質の保証にはならないのではないかという問題意識がありました。両国が協力して1つの評価基準を作り上げ、それによって両国の大学を評価していくことこそ大学にとって意味のあるものだと思い、こうした方法を採り入れました。
 実際の評価基準の策定や評価作業では、本協会の評価に長年携わっていただいている経験豊富な先生方に協力してもらったり、プロジェクトのロゴマークを会員大学の学生にデザインしてもらったりと多くの関係者にご協力いただきました。共同認証プロジェクトは、その後タイの評価機関も新たに参画して、少しずつ規模を拡大しています。今後はアジア圏を中心にさらにその規模を拡大させ、新たな質保証の枠組みとして発展させていきたいと考えています。

本協会で働くことの意義について

Q:本協会で働くことの意義についてどのように考えますか?

H室長:業務上、国際的な観点から質保証のあり方を考える機会が多くありました。そこで知ったことは、質保証のあり方について、唯一の正解は無いが、より良いものを追求していくことができるテーマであるということです。追求していく上では、各国の評価機関の人々とそれぞれの国や地域の事情を考慮しながら、より良い仕組みづくりを検討していくことになります。
 これまで、協定を結ぶ各国評価機関の担当者や国際会議での意見交換等において、質保証のあり方に関して議論を深めてきましたが、そこでは私自身想像していなかった斬新なアイデアに触れたり、自らの考えに対するユニークなフィードバックをもらえたりすることが多く、それによって自身のアイデアが洗練されるとともに、自身の成長にもつながっていることを実感しています。 

T係長:私は母校が好きで、好きな大学の教育研究活動をより良くしていこうとする本協会の仕事にやりがいを感じています。現在の国際企画室の仕事は、常に新たな経験の連続であり、特に海外の関係者と一緒に仕事をする環境は、私にとってとてもチャレンジングで刺激的なことばかりです。また、変化の激しい時代にあって、日々新たな事業の創造が求められる仕事でもありますので、失敗を恐れず、さまざまなことに積極的に取り組んでいきたいと思っています。そして、そうした結果として、少しでも日本の大学の国際化に寄与できれば、これ以上嬉しいことはありません。

今後の目標について

Q:最後に今後の目標を教えてください。

H室長:共同認証プロジェクトについては、今後アジア圏を中心に連携ネットワークを拡大するように取り組んでいく一方で、もう少し日本の大学にも共同認証を受けることのメリットを認識してもらい、評価を受けてもらえるように周知を図っていきたいと思っています。

T係長:恥ずかしながら私は国際企画室での仕事を通じて、本協会の国際化事業の重要性を認識しました。本協会の職員であっても他部署で仕事をしていると、日々の業務において国際化を意識する機会はそれほど多くないと思います。しかし、実際に仕事をしてみて、我々国際企画室の仕事は、日本の大学の発展において非常に重要な役割を担っていると感じており、そうした事業の重要性を各職員が理解できるように情報発信等に積極的に取り組んでいきたいです。

(おわり)


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