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JUAA職員の仕事 #2 評価第1課編

 大学基準協会で働く職員は日々どのような仕事をしているのでしょうか?そんな疑問にお答えするため、「JUAA職員の仕事」では、各職員の担当業務の紹介やそれぞれの仕事の思い出、仕事に対する考えなどをインタビュー形式でお届けします。
 第2回目は、大学や短期大学の認証評価を行う評価事業部評価第1課に所属の職員3人にお話を聞きました。

大学基準協会事務局組織図

職員自己紹介

Q:まずは3人の本協会での経歴や担当業務を教えてください。

S:私は大学院修了後に新卒で入局して今年で5年目を迎えますが、これまで一貫して評価第1課で大学や短期大学の評価業務に従事してきました。 

S係長:私も大学院修了後に新卒で入局して今年で12年目を迎えます。入局後、5年間は大学や短期大学の評価を担当し、その後、企画・調査研究系(当時)へ異動となり、2018年度から始まる第3期大学評価に向けたハンドブックの改定作業、教職課程の質保証に関する調査研究等に3年間従事しました。その後、2018年度から再び評価第1課に異動して、係長として改めて大学や短期大学の評価事業に携わっています。

N課長:私も2人と同様に大学院修了後に新卒で入局して今年で15年目を迎えます。1年目に大学評価やビジネススクール(経営系専門職大学院)の評価事業の新規立ち上げを経験し、その後しばらく、ビジネス、公衆衛生、知的財産、デジタルコンテンツ、グローバルコミュニケーション分野の専門職大学院の認証評価や獣医学、歯学に対する分野別評価を担当してきました。
今年度より、大学や短期大学の認証評価を行う評価第1課の課長として、部署を統括する立場で仕事をしています。こうして振り返ってみると、入局以来ずっと評価の現場で仕事をしていたことになりますね。

Q:そもそも、3人が本協会に入局したきっかけは何だったのでしょう?

S:大学院では政策学に関する研究を行っていました。具体的には、人口が少ない地域に大学を作るとそこに人が集まり、それによって地域が活性化するのかというようなことを検証していました。

 こうした研究を通じて、教育分野に関心を持つようになり、そこから学生や教員がそれぞれ目標をもって活動し、自己実現している大学という場所をより良くしたいと思うようになりました。そうした中で指導教員に本協会の存在を教えてもらい、大学の教育研究を評価という方法で支援していく活動に興味を持ち、応募することにしました。

S係長:私は映画が好きで、学生の頃に元東京大学総長の蓮實重彦氏の著書をよく読んでいました。その中には映画批評・映画論だけではなく、大学論に関するものもあったので、大学のキャリアセンターのホームページで本協会の求人を目にしたとき、自然と興味をもちました。

N課長:もともと将来は研究職か中学校・高等学校の教員を希望していましたが、非常勤講師を務めたりするなかで、研究職や研究に関係する事務系の仕事がしたいと思うようになり、そうして出会ったのが本協会でした。当時、大学院修了者を採用条件にしていたこと、また、国際シンポジウムの実施や調査研究の成果をまとめた書籍の出版などを知り、研究に力を入れている団体であったことから応募することにしました。

思い出に残る仕事(プロジェクト)について

Q:Sさんがこれまで評価第1課の業務に従事する中で、思い出に残る仕事(プロジェクト)は何ですか?

S:私は、2019年度に担当した医学部の入学者選抜に係る調査を担当した経験です。これは当時大きなニュースにもなった医学部のいわゆる不正入試の問題を踏まえて、対象大学の評価結果の妥当性を検証するという仕事でした。社会的影響の大きい内容でしたので、問題の有無を検討するにあたり、各大学の実際の状況を正確に把握することが求められました。

 そのため、私を含め担当した事務局職員は、毎晩オフィスに残り、それぞれが各大学の入試制度についてしっかり理解できるように資料を細部まで確認したり、その結果について互いに議論したりしました。何も分からなかった状態から自分の言葉で正確に説明できるくらいとことん調べました(笑)。職員同士で1つの物事を徹底的に調べて、文書としてかたちにするという経験は、仕事における大きな自信につながりました。 

Q:大きな自信とは具体的にどのようなことでしょうか?

S:あの経験によって、自分の仕事において1つの指標ができたというのでしょうか。あれ以来、「あのときのようにとことん考え抜いたのか?」という言葉を自身に問いながら、日々の仕事に取り組むようになりました。 

Q:それでは、S係長がこれまで評価第1課の業務に従事する中で、思い出に残る仕事(プロジェクト)は何ですか?

S係長:私は、本協会の評価を申請しようとする大学への事前相談業務です。これは、主に翌年度に評価の申請を予定している大学を対象に、申請に必要な書類や手続き等について、大学ごとに相談を受ける業務になります。この業務に携わることになって長いですが、この間、できる限り各大学の状況を踏まえて、円滑な評価に向けたアドバイスを行うよう心掛けてきました。

 実際に評価を申請する大学は、申請の1年以上前から準備を進めていて、そのことを負担に感じているケースも少なくありません。また、準備は全学を挙げての大掛かりなものであるため、さまざまな不安もあるでしょう。そうしたネガティヴな要素を軽減することが重要であり、そのためにも丁寧な対応が必要です。

 本協会は大学を評価する団体ですが、その起源をたどれば大学によって設立された団体ですので、大学に寄り添った評価のあり方を考えることも重要な仕事です。

 評価終了後に、大学側から「本協会の評価を受けてよかった」という話や「職員の対応が丁寧だった」という話を聞くことがあり、そういった感想を聞くととてもやりがいを感じます。

N課長:日々近くでS係長の仕事をみていますが、大学への対応は、事前相談に限らず、メールや電話等においてもとても丁寧な印象ですね。

Q:お待たせしました。N課長がこれまで評価第1課の業務に従事する中で、思い出に残る仕事(プロジェクト)は何ですか?

N課長:本協会では各大学の教職員が評価者となり評価を実施していますが、そうした方々に対して実施する事前研修(評価者研修)について、内容の充実を図るために、海外の評価機関の事例を調べる調査プロジェクトに参加した経験が思い出に残っています。入局以来、評価業務に従事する中で、大学の活動を適切に評価するためには評価者の養成が非常に重要であると感じていたところ、同じ問題意識を持った職員がおり、本プロジェクトが立ち上がりました。

 私はアメリカの評価機関の事例を調査することになり、実際に現地の評価機関を訪問して、評価者研修を見学しました。そこでは、実際の評価作業において起こり得るさまざまな事例をケーススタディとして評価者に提供し、評価者としてどのように対応すべきかを参加者同士で考えさせる研修を採り入れていました。

 見学した際、これは効果的な研修方法であると確信し、本協会の研修で是非採り入れたいと思いました。帰国後、すぐに導入準備に取り掛かり、調査した翌年度から、こうしたケーススタディの要素を取り入れた研修を実施しました。その後も、試行錯誤しながら、評価者に何を伝えたいか・何を考えていただきたいかを追求し、取り扱うテーマを工夫しています。

 今後は、現在の書面評価や分科会での議論を模擬体験するワークショップのみならず、大学への実地調査時の面談やインタビューでの対応についてもロールプレイングやワークショップ形式での研修ができないかと模索しています。

本協会で働くことの意義について

Q:本協会で働くことの意義についてどのように考えますか?

S:評価結果は各大学に対して大きな影響を与えるものです。例えば、評価結果における問題点の提言として「改善課題」や「勧告」を付せば、大学に改善を求めることになりますし、そのことを社会に周知することにもなります。このように、大学を評価するということは非常に責任のある仕事です。そのため、大変なこともありますが、評価を通じて大学の質の保証・向上に寄与することで、最終的にはそこに通う学生の学びがより良いものになっていくと信じています。もともと大学という場所が好きだった私にとって、こうした仕事に従事できることに大きなやりがいを感じています。

S係長:我々の仕事は、大学を評価して終わりではなく、評価の経験などを一つの契機として、教育の質保証に一層取り組んでもらえるよう支援していくことも重要であると思っています。

 本協会では、毎年会員大学の職員数名を研修員として受け入れています。研修員の方々は本協会の専任職員と一緒に評価業務を担当しますので、私もこれまで多くの研修員の方々と一緒に仕事をしてきましたし、自分の経験から得た知見などもできる限り共有をしてきました。研修を修了された方々からは、本協会での経験を所属大学での質保証活動に還元しているという声をよく聞きます。このように一緒に働いた経験を活かしてくれることは大変喜ばしいことです。

 難しく言えば、大学への質保証文化の醸成ということになるかもしれませんが、評価業務を担当する中で、こうした活動の重要性に気づき、少しでもそれに貢献したいと思うようになりました。この思いのもとで大学や研修員の方に接するよう心掛けています。

N課長:S係長の大学の方への丁寧な対応は、そうした思いからだったのですね。 

N課長:大学を評価し、教育研究の質を保証・向上させることは、社会的意義の高い活動ですし、先ほどSさんも言っていましたが、評価結果は、大学と社会それぞれに大きな影響を与えるものですので、こうした活動を支える我々職員の任務は大変重要です。

 部署を統括する立場になってからは、そうした職員の育成について考えるようになりました。評価業務に従事する職員には、評価者と同じ目線に立って対応できる職員になってほしいと思っています。そのためには、各職員が大学の教職員である評価者と同等以上の評価に関する知識や経験を有している必要があります。大学の現状を適切に評価し、より質の高い評価結果を作成するためにも、そうした職員の育成も大変重要な仕事だと思っています。 

今後の目標について

Q:最後に3人の今後の目標を教えてください。

S:経験を重ねていくにつれて、その大学が目指すべき方向を見据えて評価していくことが重要であると思うようになりました。各大学の理念や目的を踏まえた評価の実施というのでしょうか。これからはこうした部分を意識して大学の質の保証・向上に資する評価結果の作成に努めていきたいと思います。

S係長:大学に本協会の評価を受けてよかったと思ってもらえるように、よい評価とは何かということを突き詰めて考えていきたいと思います。

N課長:本協会の評価の目的は、「質の保証」と「質の向上」ですが、これを両立する評価を実現することの難しさを感じると同時に、大学の質の向上を支援するような評価をもっと行っていきたいと思っています。また、評価の実施においては、評価者と申請大学が書面や実地調査を通じて意見を交換するというプロセスも大変重要ですが、最終的には評価結果として文書で公表・通知されるわけです。なので、評価結果の質を高めていくこと、大学に向けたメッセージであり社会に対しての評価結果であることを認識して作成していくことの両面を実現していくことができればいいなと思っています。

 また、日本の大学の質保証において認証評価は重要な役割を担っています。現在は複数の評価機関があり、それぞれの特性をもって評価を行っていますが、国としての評価のクオリティを考える必要もあるかもしれません。個人的には、教育プログラムの質保証は大変重要だと思っていますので、こういった点でも本協会から行政へ何か発信していけるとよいと思っています。

(おわり)


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