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2022年度の大学評価について―評価結果の分析(ダイジェスト版)―

 本協会では、2018年度より、その年度に公表した大学評価結果に関してデータ分析を行い、ホームページにて公開しています。
 今回の記事では、2022年度の大学評価結果について、分析結果からわかる傾向やポイントをダイジェストでお届けします。
▼評価結果の分析ページはこちら
https://www.juaa.or.jp/accreditation/institution/result/

申請大学の状況

 2022年度の大学評価では、公立・私立の合計50大学から申請があり、そのうち私立大学からの申請が94.0%を占めています。

 また、今年度は、2~4学部を持つ大学からの申請が最も多く、収容定員から見ると、1,001人から3,000人以下の大学が36.0%を占めており、昨年度に引き続き、小~中規模の大学からの申請が多かったといえます。

 評価結果については、すべての大学に対して大学基準への「適合」又は「不適合」の判定※がなされますが、2022年度は、申請した50大学すべてが「適合」となりました。

※「適合」「不適合」の判定など、評価結果の構成については「#1 大学評
  価結果から、大学の状況を読み取ろう」にてご紹介しています。

▼評価結果検索ページはこちら

評価結果の提言に関する分析

 評価結果において付される提言は、「長所」「改善課題」及び「是正勧告」の3種類があります。それぞれの提言の定義は下表のとおりです。

「長所」について

 2022年度の大学評価において、「長所」が付されたのは、基準9「社会連携・社会貢献」が最も多い33件、次いで基準7「学生支援」が21件、基準4「教育課程・学習成果」が10件となっています。この傾向は昨年度から変わっていません。
 長所には、取組みの有効性として有意な成果が見られることが重要ですが、評価時点においては成果が顕出していないものの、今後成果が出ることが期待できる事項も取り上げています。今年度の長所では既に成果が出ている取組みの方が多く、各大学が目的の達成に向けて、工夫しながら継続的に取り組んでおり、有意な成果につながっていることがわかります。

▼「長所」とされた事項は、「大学の長所・特色検索」システムにて、より詳細な内容を公表しています。

「改善課題」について

 「改善課題」が付されたのは、基準4「教育課程・学習成果」が50件と最も多く、次いで基準5「学生の受け入れ」が42件、基準2「内部質保証」が21件でした。これらの基準では、昨年度に引き続き、「改善課題」が多く付されています。
 なお、「基礎要件に関する提言」とは、法令要件やその他の基礎的な要件等を満たしていない場合に付される提言のことです。

「是正勧告」について

 「是正勧告」が付されたのは、基準5「学生の受け入れ」が9件と最も多く、次いで基準4「教育課程・学習成果」が6件、基準2「内部質保証」が4件、そのほか基準10(2)「財務」が3件となっています。昨年度と比較すると、基準2「内部質保証」の是正勧告は減少しています。

▼評価基準はこちら

「内部質保証」と「学習成果」に関する分析

「内部質保証」について

 大学基準協会の評価において重要視される「内部質保証」は、本協会が定める大学基準において、体制の整備や、内部質保証に関わる組織の権限・役割分担の明確化、内部質保証推進組織による教学マネジメント等を行うことにより、大学自身が教育研究等の質を自ら保証することが求められています。
 これを踏まえ、評価結果の基準2「内部質保証」において、「長所」が付されたのは2大学(4.0%)、いずれの提言も付されなかったのは23大学(46.0%)であるのに対し、「改善課題」が付されたのは21大学(42.0%)、「是正勧告」が付されたのは4大学(8.0%)と全体の50.0%の大学で問題を指摘されています。

 2021年度は、「改善課題」又は「是正勧告」が付された大学が全体の約55.0%あったことに鑑みると、内部質保証に関する問題点の指摘は減少傾向にあることがわかります。
 また、今年度の内部質保証に関する評価においては、特に内部質保証の有効性に提言がついた大学が15大学(30.0%)となっています。これらについては、各学部・研究科の改善活動に対する内部質保証推進組織のマネジメント、または各学部・研究科の自己点検・評価結果を踏まえた改善支援に課題があるということを指摘しています。

「学習成果」について

 内部質保証のために必要不可欠な学生の学習成果の把握・評価については、学位授与方針に示した知識、技能、態度等の学習成果を学生が卒業・修了時に修得したかどうかを把握・評価すること、そして、そのために学習成果を測定する方法や指標を開発して適用することを求めています。
 これを踏まえ、評価結果の基準4「教育課程・学習成果」において、学習成果に関する「長所」が付されたのは3大学(6.0%)、いずれの提言も付されなかったのは25大学(50.0%)、「改善課題」が付されたのは22大学(44.0%)でした。

 2021年度に引き続き、「是正勧告」が付された大学はありませんでしたが、2020度は51.3%、2021年度は49.0%の大学で「改善課題」を付されていたことに鑑みると、学位授与方針に示した学習成果の把握・評価への理解が進み、把握するための取組みに着手している大学が徐々に増えていることがわかります。
 また、学習成果に関する「長所」については、測定指標やデータの蓄積・分析方法において独自の工夫が見受けられました。

おわりに

 2022年度の大学評価では、内部質保証の有効性・機能性を高めるため、各大学で学習成果の把握・評価が進んだことが窺えました。そのため、第3期大学評価を開始した2018年度に比して、基準4「教育課程・学習成果」における学習成果の把握・評価に関する改善課題が減り、効果的な取組みを長所として提言することができました。一方で、学習成果の評価結果を教育の改善に活用し、更にはそれを内部質保証の一環として組み込んで機能させることについては十分な状況とはいえません。
 各大学において、学習成果の測定に向けた取組みがより一層進んでいくことで、学習成果の可視化や学習成果の把握・評価結果を活用した教育の改善・向上につながっていくことを期待したいと思います。
 本記事でご紹介しきれていない情報もまだまだ沢山ありますので、過年度の評価結果の分析を含め、もっと詳しく知りたい方は、下記のページの「評価結果の分析」をぜひご覧ください。