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#1 大学評価結果から、大学の状況を読み取ろう

 このシリーズでは、大学評価のことをもっと皆さんに知っていただくために、評価機関だからこそお伝えできる情報をいろんな観点からお届けいたします。今回は、ホームページで公表している大学評価結果について、読み方のコツをご紹介します。これを読んだ後は、ぜひホームページから気になる大学の評価結果を読んでみてください。

はじめに

 皆さんは、気になる大学があった場合、どのようにして情報を集めますか?大学ホームページやパンフレット、紹介動画等でしょうか。今や、インターネットを通じて手軽に多くの情報を得られる時代になりました。ただ、これらの情報の多くは大学自身が作成したもの、もしくは、個人が発信した言わば主観的な意見・感想等になっています。

 そのような中で、唯一、第三者(他大学の教員や職員)が大学の優れた点や課題を評価するのが、私たちのような評価機関が行っている大学評価(認証評価)です。
 大学評価結果は、評価基準に基づいて、評価者が客観的に評価した内容が得られる、貴重な情報源であると言えます。

 あまり知られてはいませんが、すべての大学は、7年以内に1回、文部科学大臣が認証した評価機関が行う評価(認証評価)を受けることが法律で義務付けられています。
 私たち大学基準協会は、文部科学大臣から最初に認証された評価機関であるとともに、わが国で最も歴史のある評価機関(創立は1947年)で、大学からの申請を受けて、毎年数十大学の評価を行っています。

 評価結果は、本協会のホームページで公表しています。ただ、1大学につき20~40ページ程あり、専門用語も含まれるため、一般の方には読みにくく感じることもあるかもしれません。
 そこで今回は、一般の方々にも評価結果から一定の情報を得られるよう、評価結果の読み方のコツについてご紹介していきたいと思います。

▼各大学の評価結果はこちらから読むことができます!

▼大学評価についてはこちらもチェック!

Lesson1:評価結果の構成を知る!

 まずは、評価結果の構成からお話していきます。
 本協会の大学評価(認証評価)結果は、次の3つのパートから構成されています。
  Ⅰ 評価結果
  Ⅱ 総評
  Ⅲ 概評及び提言

 「Ⅰ 評価結果」は、評価基準である「大学基準」に適合しているか否かが書かれています。適合している場合は、認定期間(7年間)も記されています。数行でシンプルに書かれていますので、どなたでもわかりやすいと思います。

 「Ⅱ 総評」は、全体の評価結果から、重要な点を1~2ページ程度に集約したものです。ここには、大学の理念・目的、内部質保証※の状況、教育内容・方法の概要や特色に加え、その大学の優れた点や主な問題点などもまとめられています。

 「Ⅲ 概評及び提言」では、10ある評価基準ごとに、「概評」と「提言」(長所、改善課題、是正勧告)でまとめられ、評価結果の大部分を占めています。また、「概評」は、「点検・評価項目」と呼ばれる複数の項目ごとに書かれています。

様式11 大学評価(認証評価)結果_0001_0001
             「大学評価ハンドブック」より抜粋

 評価結果の構成がわかっていれば、評価結果をすべて読み込まなくても、必要な情報を効率よく得ることができます。構成は意外とシンプルなので、ぜひ覚えてください。

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Lesson2:評価結果の全体像をつかむ!

 評価結果の概略を大まかに把握したい場合は、「Ⅰ 評価結果」「Ⅱ 総評」を読んでみましょう。両方合わせて1~2ページですから、分量も多くはありません。
 「Ⅰ 評価結果」では、最も重要な、「適合」か「不適合」かの判定が書かれています。
 「適合」の場合は、本協会が定める評価基準(大学基準)に適合し、個々に問題はあったとしても、理念・目的の実現に向けた取組みがなされ、大学全体として一定の水準を満たしていることを意味しています(大学評価の時期によっては、判定の「保留」や「期限付適合」などもあります)。
 一方、「不適合」の場合は、何らかの重大な問題が見られ、大学としてふさわしい教育の水準や質を確保できていないことを意味しています。

 次に、「Ⅱ 総評」から、評価結果全体の概略をつかみましょう。
大学評価では、大学の理念・目的の実現を後押しできるよう、理念・目的の達成に向けたプロセスや、その具体的な取組みを重視しています。そのため、大学がどのような理念・目的をもって教育活動にあたっているのかを理解できるよう、「Ⅱ 総評」の冒頭に大学の理念・目的が書かれています。
その後は、教育を充実させ、学生の学習成果を向上させるために、大学自身がどのように教育の質を担保しているのか、つまり、本協会が最も重要視している「内部質保証」についての記述や、大学の活動の中心である教育がどのように行われているのか、教育内容・方法や学習成果について、大まかな状況が書かれています。
 また、「Ⅲ 概評及び提言」において、「長所」、「改善課題」、「是正勧告」として指摘されている、優れた点や問題点の概要がまとめられていますので、「Ⅱ 総評」を読むことで、評価結果の全体像をつかむことができるようになっています。

 「Ⅱ 総評」を読んで気になった点について、より深く知りたい場合は、該当する基準の概評を読んでみてください。基準は、以下の10基準で構成されています。

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Lesson3:優れた点や問題点を理解する!

 大学の優れた点や問題点を具体的に知りたい場合は、「Ⅲ 概評及び提言」に書かれた提言を見ていきましょう。提言には、優れた点である「長所」と、問題の重大さに応じた「改善課題」と「是正勧告」の3種類があります。

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 また、提言に書かれている内容は、必ず「概評」でも触れられています。提言をより正しく理解するためには、概評の該当部分も合わせて読むことをお勧めいたします。

 1つ注意していただきたいのは、大学評価はランキングのように他大学との比較で行うものではなく、その大学自身の理念・目的に沿って行うものであるということです。それゆえ、長所が多いことは優れた取組みが多いことに違いありませんが、長所の数が多いほどより優れた大学であるというように、提言の数だけで他大学と比較することは適切ではありません。あくまで、個々の大学の優れた点や問題点を把握するのに活用してください。

▼評価結果の「長所」についてはこちらから検索することができます!

おわりに

 いかがでしたでしょうか?今回ご紹介した他にも、例えば教育のことだけ知りたい場合は、「基準4:教育課程・学習成果」のみを読み込む、という使い方もできます。
 大学評価結果がもっと社会に広まり、高校生が志望大学を決める際などに、大学の情報を得る手段の1つとして定着するようになれば幸いです。

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