見出し画像

大学の3つの使命―教育、研究、もう1つは?|3分で知る!大学の今 #1

 社会や経済が急激に変化する中で、大学における教育研究のあり方も大きく変化しています。
 「3分で知る!大学の今」と題した本マガジンでは、評価を通じて多くの大学を見て来た大学基準協会職員が、変化する大学の「今」をわかりやすくお伝えしていきます。

 先日、筆者の家の近くのショッピングモールで、近隣の大学の学生が店頭に立って、地元の飲食店の弁当を販売していました。聞くと、大学の授業の一環で、「食」で地域を盛り上げるイベントを行っているとのこと。商工会と協働し、個人経営の飲食店のPR活動として、店頭で期間限定のお弁当を販売しているそうです。学生が楽しそうに活動している様子が印象的で、いつものショッピングモールが活気を帯びて少し華やいでいるように感じました。

 そんなことから、本マガジンの最初の記事は、「社会連携・社会貢献」を取り上げてみたいと思います。

大学の使命は教育・研究・そして社会貢献!

 突然ですが、大学の3つのミッション(使命)をご存知ですか?
「教育」「研究」、そして「社会貢献」です。

 このことは、「教育基本法」にも書かれています。
 2006年12月の改正により、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」(第二章 第七条)と定められました。
 
 これにより、「社会貢献」が「教育」、「研究」と並ぶ大学の3大ミッションの一つとして位置づけられました。

地域に広がる活動

 冒頭に紹介したショッピングモールでのイベントも、大学による社会連携・社会貢献活動の一環のようです。
 
 大学は、かねてより地域住民のための「公開講座」を開催したり、企業と共同研究をしたりするなど、研究成果や人的財産を社会に還元することで社会貢献活動を実施してきました。一説によると、公開講座は1970年代から開催されていたそうです。
 
 その後、先の法改正などの影響もあり、大学はさまざまな社会連携・社会貢献活動を展開するようになってきました。イマドキの社会連携・社会貢献活動の特筆すべき点は、大学が何らかの教育的意図を持って、学生を地域や社会に送り込んで展開している活動が多くみられるところではないでしょうか。

活動の事例紹介 

 学生が参画する近年の社会連携・社会貢献活動の取組みとして、どのようなものがあるのかを調べてみたので、いくつかの例を紹介します。

<冒頭のA大学>
商工会と連携し、投票で選ばれた地域の人気店を表彰するイベントを通して地域の商店街を活性化する活動をしています。イベントは学生主体で行われ、学生が問題解決のアプローチを学ぶ機会にもなっています。

 <B体育大学>
コーチングの基礎、スポーツ倫理、事故対応の研修を受けた学生を地域の中学や高校の部活動の指導員として派遣しています。この取組みは地域の教員の負担軽減になるとともに、学生のスポーツ指導者としての実践的な学びにつながっています。

<理工系C大学> 
大学で得た理工系の知識や技術を活かし、学生が小学生を対象とした発明教室を開催するほか、高齢者にパソコン操作のサポートなどを行っています。学生はこの活動を通して豊かな人間性や発想力、社会に貢献する力を学びとることが期待されています。

まとめにかえて

 大学の社会貢献というと、社会や地域のために、大学が研究活動の成果を還元する活動というイメージが強いように思われますが、今日の大学の社会貢献はそれだけでなく、そこに学生を参加させ、学生にとっても貴重な学びの機会とすることが多いようです。つまり、地域と大学(学生)の両者にとってプラスとなる、いわゆるwin-winの活動なのがイマドキの「大学における社会連携・社会貢献活動」なのです。

「大学の長所・特色検索」ページを活用しよう!

 ところで、本協会は、認証評価制度開始当初から評価基準に「社会連携・社会貢献」という項目を設定し、これを大学の大きな役割の一つとして考え、評価してきました。本協会の「大学の長所・特色検索」ページでは、評価において認められた各大学の優れた取組みを紹介しています。今回紹介した事例以外にも、興味深い取組みがたくさんありますので、タグ検索などでぜひご覧ください。

 大学評価結果について、詳しくは本協会noteの過去の記事「もっと知りたい! 教えて評価結果のこと #1 大学評価結果から、大学の状況を読み取ろう」をご覧ください。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!